はじめに
「老後は温暖な国で過ごしたい」「日本の将来に不安を感じている」「もっと自由な生き方をしたい」そんな想いを抱えている方にとって、フィリピン移住は魅力的な選択肢の一つです。
フィリピンは日本から約4時間という近距離にありながら、年間平均気温27度の温暖な気候と、他国と比較して取得しやすい永住権制度で注目を集めています。実際に、現在約1万6,800人の日本人がフィリピンで生活しており、その数は年々増加傾向にあります。
しかし、「移住の条件がよくわからない」「実際の生活費はどれくらい?」「本当に住みやすいの?」といった疑問や不安を抱えている方も多いでしょう。
この記事でわかること
- フィリピン移住に必要な4つの主要ビザと取得条件
- 実際の生活費と初期費用の詳細
- 現地在住10年の日本人による生の体験談と成功のコツ
フィリピン移住の基礎知識|なぜ日本人に人気なのか
フィリピンが移住先として注目される背景
フィリピンが移住先として人気を集める理由は、地理的・経済的・制度的な優位性にあります。人口ピラミッドが日本の高度経済成長期と同じ形で、平均年齢24歳という若い国であり、2091年まで人口増加が続くと予測されています。
この経済成長の波に乗り、2010年頃から日本人投資家や移住希望者が急増。フィリピンの経済成長率は2012年頃から著しく伸び、国外を拠点としていたフィリピンの富裕層も自国へ戻ってきている状況です。
日本人移住者が集中する3つの地域
フィリピンの在留邦人約1万6,800人のうち、約78%(1万3,790人)がルソン地方(フィリピン北部)に集中しています。特に人気の高い3つの地域は以下の通りです。
1. マニラ首都圏(メトロマニラ)
- 人口約1,300万人のフィリピン最大都市圏
- マカティやBGC(ボニファシオ・グローバル・シティ)は治安良好
- ビジネス機会が豊富で就労目的の移住者に人気
2. セブ市
- フィリピン第2の都市でリゾート地としても有名
- BPO産業の集積地で外資系企業も多数進出
- 仕事とリゾートライフの両立が可能
3. ダバオ市
- フィリピン南部の第3都市
- 人口密度が低く暮らしやすい環境
- ドゥテルテ前大統領の地元で治安が良い
フィリピン移住の条件|4つの主要ビザと取得方法

SRRV(特別居住退職者ビザ)|最も人気の永住権
2025年9月の制度改正により、SRRVの申請可能年齢が50歳から40歳に引き下げられ、より多くの日本人が取得可能になりました。
取得条件
- 年齢:40歳以上(2025年9月改正)
- 預託金:
- 40-49歳:年金受給者25,000USD、非年金受給者50,000USD
- 50歳以上:年金受給者15,000USD、非年金受給者30,000USD
- 犯罪歴がないこと
- 必要な医療検査をパスすること
メリット
- 滞在期間に制限なし(実質的な永住権)
- 現地での就労・起業が可能
- 配偶者と21歳未満の未婚子供も同時取得可能
- 預託金は全額返還される(投資転用も可能)
現地在住10年のJunさんによると、「SRRVは最も取得しやすく実用的なビザです。預託金も投資に回せるので、
実質的な負担は年間手数料の360USDだけ」とのことです。
クオータビザ(特別割当移住ビザ)|年間50名限定の希少な永住権
各国に対して年間50人分しか発給されない、極めて希少価値の高い永住権です。
取得条件
- 年齢:20歳以上
- 預託金:50,000USD(取得後引き出し可能)
- 取得期間:6ヶ月〜1年
メリット
- 預託金を自由に使用可能(SRRVとの大きな違い)
- 真の永住権(移民ビザ)
- 就労・起業制限なし
デメリット
- 年間50枠という極めて狭き門
- 申請費用が20,000〜25,000USDと高額
- 取得までの手続きが複雑
SIRV(特別投資家ビザ)|投資家向けの居住権
21歳以上の投資家を対象とした居住ビザで、高額投資が条件となります。
取得条件
- 年齢:21歳以上
- 投資額:75,000USD以上
- 投資対象:BOI登録企業株式、PSE上場銘柄など政府認定投資
メリット
- 複数回入国可能
- 就労・起業可能
- 配偶者・子供も同時取得可能
デメリット
- 高額な初期投資が必要
- 毎年の更新時に投資継続証明が必要
- 投資を中止すると滞在権失効
結婚ビザ(13A)|フィリピン人配偶者との結婚による永住権
フィリピン人と結婚することで取得できる永住権です。
取得条件
- フィリピン人との婚姻
- 最初の1年は仮永住ビザ
- 1年経過後に正式永住ビザに切り替え
メリット
- 真の永住権
- 就労・起業制限なし
- 預託金不要
デメリット
- 離婚すると滞在権失効
- 取得まで最低1年必要
実際の体験談・インタビュー|現地在住者の生の声

体験者A:ノープランでも成功した移住体験
フィリピン在住10年以上のJunさん(4人の子どもの父親・移住支援事業運営)は、「日本から逃げたかった」という理由でフィリピンに移住しました。
「何も準備しなかったこと。まったくのノープランで来た」というJunさんですが、「みんな優しかったこと。良い意味で、非常にフレンドリーだった」と当初の印象を語ります。
移住当初は「単身で住む場所にこだわらなければ、10万円あれば生活に十分余裕があった」とのことですが、2025年現在は「家族6人で日本人らしいある程度快適な生活をしようとすると、20万円ぐらいは必要になってくる」と生活費の変化についても言及しています。
体験者B:価値観の変化と人生の学び
Junさんが最も印象的だったのは、フィリピン人の価値観の違いです。「フィリピンの人は『人の目を気にしない』こと。自分の好きなことを好きなようにする傾向があり、例えば70歳のおじいちゃんでもスーパーマンのTシャツを着る」という例を挙げています。
移住後の価値観の変化について、「『人生は1回なので自分のやりたいことをやればいい』ということをフィリピン人から教わった。日本では何かをしようとする際に『心配から入る』思考だったが、フィリピン人からは『日本人の趣味は明日を悩むことだ』と言われたことが衝撃的だった」と語っています。
移住初期の困難について聞くと、「語学、特に英語。日本では高校・大学で一般教養として英語を学んだものの、医療系の仕事では英語を使う機会がほとんどなく、10年以上使っていなかったため錆びついていた」と正直に答えています。
しかし、「一番助けられた人は、今のフィリピン人の奥さん。奥さんに出会った当時、事業も何もしておらず、稼ぐ能力があるかどうかも全く分からない状態だったが、奥さんがついてきてくれた」と感謝の気持ちを表現しています。
移住成功のための心構えとアドバイス
Junさんは移住を検討している人に対して、「物事を柔軟に受け止められるかどうか。日本と違うことが多く出てくるため、それを『そういう文化だ』と認識し、受け入れられるかどうかが重要」とアドバイスしています。
また、「『この国に住まわせてもらっている』という感謝の気持ちを忘れないようにすることです。自分はよそ者であり、文句を言えば『帰れ』と言われるだけなので、『ありがとうございます』という気持ちを持つことが重要」と謙虚な姿勢の大切さを強調しています。
移住前の準備については、「いきなり長期移住を決めず、まずはお試し移住をすることを勧めます。合う合わないが絶対にあるため、2~3ヶ月程度住んでみればある程度わかるでしょう」と実践的なアドバイスを提供しています。
フィリピン移住の生活費と初期費用

単身者の月間生活費内訳
フィリピンでの生活費は居住エリアと生活スタイルによって大きく異なります。以下は一般的な単身者の月間生活費です。
住居費
- 1ルーム家具付きコンドミニアム:15,000〜40,000ペソ(約38,000〜100,000円)
- ジム・プール付き高級コンドミニアム:30,000〜60,000ペソ(約75,000〜150,000円)
食費
- ローカル食中心:10,000〜20,000ペソ(約25,000〜50,000円)
- 日本食レストラン利用:20,000〜40,000ペソ(約50,000〜100,000円)
交通費
- タクシー初乗り:40ペソ(約100円)
- 月間交通費:2,000〜5,000ペソ(約5,000〜12,500円)
通信費
- 携帯電話:500ペソ/月(約1,300円)
- Wi-Fi:1,000〜2,000ペソ/月(約2,500〜5,000円)
水道光熱費
- 電気代:2,000〜5,000ペソ/月(約5,000〜12,500円)
- 水道代:400〜800ペソ/月(約1,000〜2,000円)
家族での生活費
Junさんの実体験によると、「2025年現在、家族6人で日本人らしいある程度快適な生活(日本食を食べたり、遊びに行ったり、ジム付きのコンドミニアムに住んだりする場合)をしようとすると、20万円ぐらいは必要になってくる」とのことです。
初期費用の目安
ビザ取得費用
- SRRV:預託金15,000〜50,000USD + 申請費用1,500USD + サポート費900USD
- クオータビザ:預託金50,000USD + 申請費用20,000〜25,000USD
- SIRV:投資額75,000USD + 申請費用300USD
生活立ち上げ費用
- 家具・家電購入:50,000〜150,000ペソ(約125,000〜375,000円)
- 敷金・前払い家賃:月額家賃の2〜3ヶ月分
- 銀行口座開設:初期預金2,000〜5,000ペソ(約5,000〜12,500円)
FAQ(よくある質問)
Q1. フィリピン移住の条件で最も重要なことは何ですか?
A. 最も重要なのは「柔軟性」です。現地在住のJunさんも「物事を柔軟に受け止められるかどうか。日本と違うことが多く出てくるため、それを『そういう文化だ』と認識し、受け入れられるかどうかが重要」と語っています。ビザの条件を満たすことは当然ですが、文化の違いを受け入れる心構えが成功の鍵となります。
Q2. フィリピン移住の条件として英語力は必要ですか?
A. 基本的な英語力があると生活がスムーズですが、必須条件ではありません。Junさんも「語学、特に英語」で初期は苦労したと語っていますが、現地で徐々に慣れていくことが可能です。日常会話レベルの英語ができれば十分で、現地で学習することも可能です。
Q3. フィリピン移住で後悔することはありますか?
A. 個人差がありますが、Junさんは「一度もない」と断言しています。ただし、「アイスコーヒーを頼んでホットコーヒーが来た程度では心が折れることはなく、面白いと感じるくらい」という柔軟な姿勢が重要です。事前の準備として2〜3ヶ月のお試し移住を推奨します。
Q4. フィリピン移住の条件として健康保険はどうすればよいですか?
A. フィリピンには外資系の保険会社が良質なサービスを提供しており、「若い人なら約7,000円、中年なら1万ペソ強(約1万円強)」で加入できます。日本の健康保険と比較しても決して高くなく、現地の医療事情に適したプランを選択することが重要です。
Q5. フィリピン移住の条件として貯蓄はいくら必要ですか?
A. ビザの種類によって異なりますが、SRRVの場合は預託金として15,000〜50,000USDが必要です。ただし、この預託金は投資に転用可能で、実質的な負担は年間手数料程度です。生活費を含めた初期費用として、総額200〜500万円程度を準備しておくと安心です。
まとめ

フィリピン移住の条件は、他の東南アジア諸国と比較して比較的緩やかで、多様な選択肢が用意されています。
フィリピン移住成功の3つのポイント
- 自分に適したビザを選択し、必要な条件を確実にクリアする
- 文化の違いを受け入れる柔軟な心構えを持つ
- 事前のお試し移住で現地の生活を体験する
現地在住10年のJunさんの「人間は自分が好きなことをできている時が一番幸せだと思うので、フィリピンで自分の思い描くように、望むように生きることが一番良い」という言葉が、フィリピン移住の本質を表しています。
フィリピン移住は「なんとかなる」国での新しい人生のスタートです。まずは情報収集から始め、可能であれば短期滞在で現地の雰囲気を体験してみることをお勧めします。あなたの理想とする生活スタイルが、温暖なフィリピンで実現できるかもしれません。
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