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マニラのコンドミニアム売れ残り急増でも需要は衰えず – 日本人投資家が今知るべき市場の実態

目次

結論(30秒でわかる要点)

  • メトロマニラのコンドミニアム市場は完成済みの売れ残り物件が急増しており、特に中低所得者向けセグメントで在庫過剰が深刻化している
  • 一方で、主要ビジネス地区近接のコンドミニアムへの需要は根強く、回答者の31%が次の投資先として選んでいる
  • 買い手が求めているのは値引きよりも柔軟な支払い条件(61%が希望)
  • 日本人投資家にとっては、価格交渉余地が広がっている今が情報収集の好機である一方、キャンセルリスクや流動性リスクに注意が必要
  • 都市部コンドミニアムと郊外の一戸建て(ハウス&ロット)の需要が拮抗しており、市場の二極化が進んでいる

はじめに

「フィリピンの不動産は今、買い時なのか?」

フィリピン移住や不動産投資を検討している日本人から、この質問を受ける機会が増えています。特に2025〜2026年にかけて、メトロマニラのコンドミニアム市場に関するニュースが相次いでいます。売れ残り物件の増加、デベロッパーによる値引き攻勢、そして依然として続く需要——。一見矛盾しているように見えるこの市場の実態を、Colliers Philippines(コリアーズ・フィリピン)の最新調査をもとに整理します。

フィリピン不動産市場は、日本のそれとは構造が大きく異なります。プレセリング(建設前販売)が主流であること、外国人の土地所有に制限があること、そして経済成長率が高い一方でインフラ整備が追いつかないエリアも多いこと——これらを踏まえた上で、今の市場動向が何を意味するかを読み解いていきましょう。

ニュースの概要と背景

Colliers Philippinesの最新調査が示すもの

2026年10月14日付けのColliers Philippines(フィリピンの大手不動産コンサルティング会社)の調査レポートによると、メトロマニラの不動産市場には以下の状況が確認されています。

需要サイド(買い手の動向)

  • 次の居住用投資先として「主要ビジネス地区のコンドミニアム」を選んだ回答者:31%
  • 「北ルソン・南ルソンのハウス&ロット(一戸建て)」を選んだ回答者:31%(同率)
  • 希望する条件として「長期かつ柔軟な支払い条件」を選んだ回答者:61%
  • 「即時頭金なし」を希望した回答者:18%

供給サイド(売れ残りの実態)

  • 売れ残り在庫の内訳(価格帯別):
価格帯(PHP)分類在庫全体に占める割合
360万〜699万ペソローワーミッドインカム層向け44%
250万〜359万ペソアフォーダブル層向け28%
360万〜500万ペソ(うち完成済み未売却)9,260ユニット(2026年Q2時点)

特に注目すべきは、360万〜500万ペソ(約75万〜105万円相当、USD換算で約63,000〜88,000ドル)の完成済みユニットが9,260戸も売れ残っているという事実です。これはデベロッパーにとって深刻なキャッシュフロー問題であり、買い手にとっては交渉余地が生まれていることを意味します。

なぜこれほど売れ残りが生じたのか

背景には複数の要因があります。

  1. 金利上昇の影響:2022〜2024年にかけての世界的な金利上昇が、住宅ローンの借り入れコストを押し上げた
  2. プレセリング時代との乖離:コロナ禍前後に大量供給されたプレセリング物件が完成を迎え、当時の購入者がキャンセルするケースが増加
  3. 中間所得層の購買力低下:フィリピンペソの下落とインフレが、ターゲット層の実質購買力を圧迫
  4. 立地と価格のミスマッチ:利便性の高いエリアの物件は価格が高く、手頃な価格の物件はアクセスが悪いという構造的問題

Colliers Philippinesは、2026年上半期において360万〜1,200万ペソのセグメントで購入キャンセル(バックアウト)が再び増加に転じたと警告しています。

日本人投資家・移住検討者への示唆

「売れ残り=悪い市場」ではない

日本の不動産市場では、売れ残り物件は「問題物件」として扱われることが多いですが、フィリピン市場の文脈では少し異なる見方が必要です。

フィリピンの不動産市場はプレセリング(竣工前販売)が主流であるため、完成後に売れ残った物件は「すぐに入居・賃貸運用できる即入居可能物件」でもあります。プレセリングのように数年待つ必要がなく、現状を確認した上で購入できるという意味では、リスクが低い選択肢とも言えます。

今の市場で日本人が注目すべき点

① 価格交渉の余地が広がっている

売れ残りを抱えるデベロッパーは、値引き・支払い猶予・レント・トゥ・オウン(賃貸から購入への移行)など、さまざまな条件を提示しています。現金購入や一括払いが可能な投資家にとっては、通常より5〜15%程度の値引き交渉ができるケースも報告されています。

② ビジネス地区近接物件への需要は底堅い

BGC(ボニファシオ・グローバル・シティ)やマカティ、オルティガスといった主要ビジネス地区周辺の物件は、在庫過剰の影響を受けにくい傾向にあります。外国人駐在員や現地ビジネスパーソンからの賃貸需要が継続しているためです。日本人投資家が賃貸収益を目的とする場合、立地の選別が従来以上に重要です。

③ 郊外のハウス&ロットも選択肢に

調査では、カビテ・ラグナ・バタンガスといった郊外エリアのハウス&ロット物件への需要も31%と同率で高い支持を得ています。フィリピン移住を検討している方で、「広い居住空間」や「子育て環境」を重視する場合は、郊外の一戸建て物件も検討に値します。ただし、外国人は土地の所有ができないため、長期リースや法人名義での取得といった方法を検討する必要があります。

日本との市場比較

比較項目日本(東京)フィリピン(メトロマニラ)
主な販売形態完成後販売・青田売りプレセリング(建設前)が主流
外国人の不動産購入土地・建物ともに可能コンドミニアムのみ可(外国人枠40%まで)
平均利回り(都市部)2〜4%程度5〜8%程度(エリアによる)
価格の透明性比較的高い交渉余地が大きく、情報格差あり
市場の流動性高い中程度(売却に時間がかかるケースも)

リスクと注意点(正直に記載)

フィリピンの不動産投資には、魅力的な側面がある一方で、見過ごしてはならないリスクも存在します。以下に正直にまとめます。

① キャンセルリスクと流動性リスク

今回の調査でも明らかになったように、360万〜1,200万ペソ帯での購入キャンセルが増加しています。これは、購入者が支払いを続けられなくなるケースが増えていることを示しています。投資家としての視点では、「購入したものの、いざ売却しようとしたら買い手が見つからない」という流動性リスクにも注意が必要です。

② 為替リスク

フィリピンペソ(PHP)は日本円に対して変動幅が大きく、購入時と売却時で為替差損が生じる可能性があります。2023〜2024年にかけてペソが対円で下落した局面では、円換算での資産価値が目減りしたケースもありました。

③ デベロッパーリスク

フィリピンには大小さまざまなデベロッパーが存在します。中小デベロッパーの場合、財務状況が悪化して工事が中断・遅延するリスクがあります。購入前には、デベロッパーの実績・財務状況・HLURB(住宅・土地利用規制局)への登録状況を必ず確認してください。

④ 外国人所有制限

フィリピンでは、外国人がコンドミニアムを購入できるのはプロジェクト全体の40%までと法律で定められています。人気物件では外国人枠がすでに埋まっているケースもあるため、購入前に必ず確認が必要です。また、土地の所有は外国人には認められていないため、ハウス&ロットを希望する場合は法的な仕組みを理解した上で進める必要があります。

⑤ 管理・維持費の継続的な発生

コンドミニアムには月次の管理費(Association Dues)が発生します。メトロマニラの中〜高級物件では、月額5,000〜20,000ペソ(約13,000〜52,000円)程度が一般的です。空室期間中もこのコストは発生するため、収支計画に組み込んでおく必要があります。

> ⚠️ YMYL注意喚起: 本記事に記載の制度・数値・法規制は2026年10月時点の情報をもとにしています。フィリピンの不動産関連法規や税制は変更される可能性があります。実際の投資・購入判断を行う前に、必ずフィリピンの不動産専門家・弁護士・税務士にご相談ください。

よくある質問(専門家に聞く)

フィリピン移住・起業コンサルタントの大町潤一氏(GENSAI Career Consulting Corp)に、読者からよく寄せられる質問にお答えいただきました。

Q. フィリピン移住・投資を考え始めたとき、最初に何をすれば良いですか?

まず大切なのは「目的の明確化」です。移住・不動産投資・起業・株式投資、それぞれ必要な準備と資金規模が異なります。最初にご自身の優先順位を整理してください。

次に、1〜2週間の短期リサーチ渡航を強くお勧めします。マニラとセブ島を実際に歩き、コンドミニアムを見学し、現地のコミュニティに触れることで、情報と実感が一致します。その後、税務・ビザ・法律の各専門家に具体的な状況を相談し、6〜12ヶ月のロードマップを作ることが現実的なステップです。

よくある失敗パターンは「情報収集だけを2〜3年続けて動けない」と「勢いで移住して準備不足に気づく」の両極端です。私は「まず6ヶ月以内に試住」を目標に設定することをお勧めしています。動くことと準備することのバランスが、移住成功の鍵だと感じています。

— 大町潤一(フィリピン移住・起業コンサルタント、GENSAI Career Consulting Corp)

読者からのよくある疑問(編集部まとめ)

Q. 売れ残り物件は「訳あり」ですか?

必ずしもそうではありません。フィリピンではプレセリングが主流のため、完成後も売れ残っている物件は「完成済みですぐ入居可能な物件」として捉えることもできます。ただし、立地・管理状態・デベロッパーの信頼性を個別に確認することが重要です。

Q. 日本人がコンドミニアムを購入する際の手続きはどのくらいかかりますか?

一般的に、契約締結から登記完了まで3〜6ヶ月程度かかります。必要書類・税金(印紙税・譲渡税・登記費用など、物件価格の約3〜5%が目安)の準備も含め、現地の弁護士や不動産エージェントと連携することを強くお勧めします。

Q. メトロマニラ以外の選択肢はありますか?

セブ島やダバオ市も日本人に人気のエリアです。メトロマニラに比べて物件価格が低く、生活コストも抑えられる傾向があります。ただし、賃貸市場の規模はメトロマニラより小さいため、投資目的の場合は出口戦略を慎重に検討する必要があります。

まとめ

今回のColliers Philippinesの調査が示すのは、メトロマニラの不動産市場が「供給過剰と根強い需要」という矛盾を抱えながら動いているという現実です。

日本人投資家・移住検討者にとって、この状況は以下のように整理できます。

  • チャンスの側面: 価格交渉余地の拡大、即入居可能物件の増加、デベロッパーによる支払い条件の柔軟化
  • リスクの側面: 流動性の低下、キャンセル増加による市場不安定化、為替リスク、デベロッパーリスク

「売れ残りが多い=今が買い時」と単純に判断するのは危険です。一方で、「市場が悪いから様子見」と情報収集だけを続けるのも機会損失につながります。

大切なのは、現地を実際に見て、専門家の意見を聞き、自分の目的に合った物件・タイミングを見極めることです。まずは短期渡航でリサーチを始めてみることをお勧めします。

出典・参考

  1. 参考: https://insiderph.com/metro-manila-has-too-many-unsold-condos-but-buyers-still-want-them
  2. Colliers Philippines 調査レポート(2026年10月14日付)
  3. フィリピン統計庁(PSA): https://psa.gov.ph/
  4. フィリピン退職庁(PRA)公式サイト: https://pra.gov.ph/
  5. フィリピン移民局(Bureau of Immigration)公式サイト: https://immigration.gov.ph/
  6. HLURB(住宅・土地利用規制局): https://hlurb.gov.ph/

> 免責事項: 本記事は情報提供を目的としており、特定の投資・購入を推奨するものではありません。フィリピンの不動産関連の法規制・税制・ビザ制度は変更される可能性があります。実際の行動を取る前に、必ず税務士・弁護士・不動産の専門家にご相談ください。

この記事の監修者

大町潤一(フィリピン移住・起業コンサルタント)
GENSAI Career Consulting Corp 代表取締役、フィリピン在住13年
フィリピン移住・ビザ取得・語学学校経営・会社設立・起業相談、人材派遣、マーケットリサーチなど
幅広い分野で日本とフィリピンの架け橋として13年以上携わる。

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この記事を書いた人

フィリピンの役立つ情報を配信しています。

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